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久多良木健のプレステ革命 [麻倉 怜士 著]

内容
プレイステーションを立ち上げた男、久多良木 健(くたらぎ けん)。彼には壮大なビジョンがあった。当時ソニーの研究員だった久多良木氏は、たまたま出会ったリアルタイム3DCGシステム「システムG」と、ほぼ同じ時に買ったファミリー・コンピュータが融合したら、全く新しいコンピュータができあがると考えた。それを実現するまでの10年と、4年で7000億円の連結売り上げを達成するまでを浅く広く触れている。
独自のリアルタイム3DCGコンピュータ像を実現させるための人材発掘。当時ソニー社長だった大賀氏を怒らせた、任天堂との提携と契約破棄。ソフトメーカーへの参入交渉。任天堂時代に築き上げられたゲーム流通の改革。理想的なエンターテインメント・コンピュータの開発。ソニーグループであるが故のジレンマとの戦い。米国販売指揮権の争奪戦。久多良木氏のベンチャービジネス論。PSXから始まるエンターテインメント・コンピュータとしてのPlayStation。以上が主だった内容である。
如何にしてPSが成功したのか。その片鱗が読める貴重な一冊。レアなソニー製CD-ROM一体型スーパーファミコンの写真付き。
何度かPS3の件でいろいろ書いたけど、久多良木さんのやりたいことは全く変わっていない。彼の夢はエンターテインメントのコンピュータを作りたいと言うことに尽きる。1984年、ソニー厚木工場にあった情報処理研究所で出会った衝撃的なリアルタイム3DCG。それに魅了された久多良木さんの気持ちがどのようなものだったか、何となく感じ取れる。
で、いろいろ面白いエピソードがあるんだけど、任天堂との契約決裂のエピソードは面白かった。ソニー大賀社長(当時)と任天堂 山内会長(当時)との間で調印されたスーパーファミコン向けのCD-ROMアダプタ開発は、任天堂の一方的な契約破棄で終わった。そもそもその話を持ち込んだ久多良木さんは、独自開発のゲームに乗り出すチャンスと考えて、それをうまく使った。どの様にうまく使ったかと言えば、大賀社長に対して

「任天堂にあれだけのことをされて、黙っているおつもりですか!」

と言って煽り、

「そんなに言うのだったら、本当かどうか、証明してみろ!」
そして机を叩きながら、拳に力を込め、発したのだ。
「DO IT !!」

と言ったとか(笑。「DO IT」ってアンタ。ナイスです。
あと、SCEがソニーグループにあって、ソニーでは無いという思いから来るジレンマも面白かった。SCEで勝手に1万円値下げして本社から非難囂々だったとか。家電の世界ではモデルチェンジも無しに1万円も値下げはしない、らしい。
逆に、ソニーグループである事を最大限利用した点も面白い。まずは技術力、つまり人材の面。あと、潤沢な資金。巧みな広告戦略。そして、CD-ROM。久多良木さんは本当にタイミングがいい。ただ、そこで思うことはPS3のタイミングの話。本当にあれで良いのかなぁ・・・。
当時のゲーム業界の片鱗が見えてくる一冊でした。こういう事に興味がある人すべてにおすすめ。

久多良木健のプレステ革命 (ワック文庫)

ではでは・・・。

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